■押印なき逮捕状

■ 残念なタイトル記事に接した(朝日新聞05年2月5日(夕刊))である。
「裁判官が『欠陥』逮捕状/押印忘れ2件執行」
なにがあったのか。
 ごく簡単なことだ。
 裁判官が、捜査機関から逮捕状の発付の請求を受けて、提出された資料を点検し、令状のひな形に必要なことを記入し、「発付」という意思表示をするー令状を捜査機関に手渡す、、、
逮捕状のひな形
金輪進・地域警察捜査書類全書 日世社337頁より

■ 逮捕状。市民の自由を強制的に拘束する「力」がある紙切れ一枚。
 その書類に、大きな力があるのは、法律に従って裁判官が審査したことが、実質上はもとより、書類の形式上も明らかであること。つまり、一種の有価証券なのだ。
 その逮捕状には、法律上、裁判官が「記名、押印」することが求められている。その押印を忘れた、、、

■ 「大阪簡易裁判所(大阪市)と堺簡易裁判所(大阪府堺市)で1月末、府警から請求があった逮捕状を出す際に、裁判官が自らの印鑑を押し忘れて発付し、府警が気づかないまま容疑者を逮捕していたケースが2件あったことが5日、わかった。検察庁が気付き、大阪地裁に連絡して発覚した。逮捕状には効力がなく、逮捕自体が無効になる。・・・
 続いて同月31日には堺簡裁の裁判官が窃盗の男性容疑者に対する同様の逮捕状を発付し、男性は今月1日に逮捕された。このケースではさらに検察庁が押印のない逮捕状を添付したうえで、大阪簡裁に男性の勾留(こうりゅう)を請求したが、ここでも同じ裁判官が押印漏れを見逃し、そのまま勾留状が発付されたという。・・・」

■ そこで、こんなコメントを出した(朝日新聞05年2月5日(夕刊))
 ○審査の信頼性、疑われかねぬ
「記名、押印は令状審査のけじめであり、今回のようなケースが続けば、裁判官は逮捕状や勾留(こうりゅう)状を出す時、本当に記録をしっかり読んでいるのか疑われかねない。令状がなければ逮捕や勾留ができない「令状主義」の重要性に、改めて立ち返るべきだ。」